第30回日本外来小児科学会年次集会

第30回日本外来小児科学会年次集会

春季カンファレンス

Spring Conference

春季拡大ワークショップの紹介

1.減らすだけでいいのかな? 抗菌薬適正使用のレベルアップを目指そう

リーダー 有瀧健太郎、土田晋也

 外来小児科学会では以前より、抗菌薬適正使用に関するシンポジウムや提言を行ってきました。また2018年4月からは、保険診療上で抗菌薬適正使用加算が認められるようになり、抗菌薬適正使用の考えは小児科診療に広く普及し、もはや議論の余地はないとお考えの方もいるかもしれません。
 しかし実際の診療において、抗菌薬の使用状況にはまだまだ違いがあるように思います。例えば、中耳炎・副鼻腔炎の抗菌薬使用頻度であるとか、伝染性膿痂疹の経口抗菌薬の使用頻度にはまだまだ個人差が多くあると思います。
 今回のWSでは参加希望者に事前アンケートをお願いしたいと考えています。その結果、議論の余地のあるテーマを選びWSを行います。抗菌薬の使用をただ減らすだけでなく、患者さんにとって不利益にならない適切な抗菌薬使用を目標とし、明日からの診療が変わるような議論を、皆さんと深めてまいりたいと思います。

2.「離乳食」についての巷の情報を検証してみよう

リーダー 岡田清春、瀬尾智子

 「授乳・離乳の支援ガイド」が2019年3月に改定されました。アレルギーに関する記述など、改定された部分はありますが、全体としては平成19年のものとの大きな違いはありません。保健所や保健センターなどでの「指導」は、今後、2019年改定版を元にされて行くことになるでしょう。
 一方、子育てをめぐる環境はどんどん変化しています。かつては育児本などが主であった「離乳食」についての情報収集は、今ではインターネットが中心となっています。また、家庭の調理能力も、味噌まで手作りから米飯を炊いたことがない家庭まで、バリエーションが広がっています。以前のような「米粥」や「出汁」から始める一律の「指導」では、実践困難なことがしばしば見られます。
 このワークショップでは、巷に溢れる雑誌、育児本、インターネットなどの「離乳食」に関する情報を参加者に集めてもらい、その科学的妥当性や実行可能かどうかについてディスカッションします。参加申し込み者にあらかじめワークシートを配布して記載してもらい、それをたたき台にして話し合って、今後の乳児栄養支援を考える上の参考にしていきましょう。

3.プライマリ・ケアでできる食物アレルギーへの対応を考える

リーダー 井上徳浩、西村龍夫

 食物アレルギー患者が多い今、日常診療の場で離乳食について開始や進め方に保護者が不安を持ち、それについて問われることも多い。過去には血液検査を根拠に除去指導される診療も多かったが、最近ではできるだけ早期から摂取すべきという考えに変わりつつある。こうした変化から、すべての医療機関で適切な指導が行われているのか、今後まだ変化していくのか、プライマリから専門まで含めれば小児科医の間でもまだ完全な統一は難しいように思われる。その食物アレルギーは経皮感作によって始まることが分かってきたため、予防という考えも出てきた。また早期の湿疹に対する適切なスキンケアにより、感作との関係で食事摂取を開始しやすくなるとも考えられ始めた。つまり、食物アレルギーはこれから自然経過から変わってくるかもしれない。
 今回これらの事実を整理し、プライマリ・ケアで今あるべき食物アレルギー診療について、考えてみる機会をもちたい。

4.これも在宅医療!? ~多職種からのケースレポート~

リーダー 藤井雅世 福田弥一郎

 小児在宅医療に関わる職種は医療・福祉・教育など多岐にわたり、在宅医にはそれら多職種と連携しコーディネートする力が求められます。小児の在宅医療では、自宅に訪問診療に行くことはもちろん重要ですが、訪問せずにできることもあります。今回の拡大ワークショップでは、ケースレポートを通じて連携する多職種(病院医師、訪問看護師、リハビリ職、セラピスト、相談支援専門員など)の仕事内容や関わり方について学び、在宅医の具体的な役割を参加者同士で議論し共有することを目的としています。
 症例報告やディスカッションに参加して下さる方(もちろん見学だけでもOK!)を募集しております。多くの方々のご参加をお待ちしています。
 
 症例報告(予定)
  1:学童期小児がん患者の在宅看取り例(訪問看護師・相談支援専門員)
  2:自閉傾向の強い重症知的障害児への訪問リハの経験(理学療法士・臨床心理士)
  3:自宅での医療機器管理、震災対応など(臨床工学技士)
 など

5.日常診療における子育てへの関わり ~かくれた育児困難を探る、気づきのポイント~

リーダー 高屋和志 青木才一志

 ヒトの子育ては、子どもを社会生活の次の担い手として育てるために多大な手間と時間を要しますが、現代は少子化に加え、子育ての個別化と地域社会からの孤立化により育児困難をかかえる家庭が多いと考えられます。
 小児科外来受診は親子が社会とつながる機会であり、家庭での子育て環境を視野に入れた対応が必要ではないでしょうか。子育て困難の要因を理解し、小児科外来で接する中での気づきと支援のポイントを学ぶことで日常診療がより豊かでやりがいのある場になると思います。
 ワークショップの前半で小児科外来での子育てへの関わりについての実践あるいは想いを参加者の皆さんに発表していただき、ディスカッションします。後半では育児困難の要因について子ども、親、社会等をテーマにディスカッションを深めていきたいと考えています。
 このワークショップが小児科外来の可能性を広げるきっかけになることを願っています。

■春季拡大WSのお申込み

 ※ 11月15日(木)より募集を始めます。


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